ジューシーパティとあふれるチーズ、オーダーメイドのハンバーガー屋『FATZ’S』@高円寺
ある晴れた日の昼下がり。
スーパーや八百屋や惣菜屋、それに飲食店ひしめく高円寺北口の駅前エリアで、我々はひどい空腹を抱えてさまよっていた。
「カロリー、カロリーはおらんか……!」
パトラッシュを小脇に抱え、教会に倒れるまであといくばく、という時。
目に飛び込んで来たのは、ルーベンス この看板。
『FATZ’S(ファッツ)』
何とおあつらえ向きの店名。
アメリカンな空気を醸し出している鮮やかなグリーンに引きつけられるように近づいていくと…。
ハンバーガーショップらしい。
が、メニューの名前がなんか独特。どれも食欲をそそる見た目であるが、はたして一体何のバーガーなのだろうか。
想像しているうちに、すっかり胃袋は「さぁさぁ、ハンバーガー食べまっせ」状態になっていた。
看板に書いてある「階段下りて左奥デ〜ス!」の文字に促され、ふらふらと進んでいく。
80’Sの雰囲気漂うポップな入り口。あらやだ可愛い。
まさにアメリカンなバーガーショップの様相である。
そしてドアを開けた我々は、即座に、この店絶対に美味いと確信した。
「いらっしゃいませー!」
にこやかに出迎えてくれる陽気なオーナー。
圧倒的な大きさ…!
「でかい人の店は間違いない」——世に知られた名店の法則である。
——俺は美味いものを知っているぜ——
……そう彼の体が物語っていた。期待が高まる。
「この店初めてかい?」
話を聞いたところ、ここはバンズや中身、味付けまで、全部自分で好きなものを選んで注文するスタイルの、オーダーメイドのバーガーショップであった。
心の準備ができていない。
悩みに悩み、いろいろとオススメの組み合わせなんかも教えてもらったものの、優柔不断とカロリー不足が相まって頭が働かなかったので、入り口の看板に載っていた商品を作ってもらえるようお願いした。
「ハンバーガーバンズ + 野菜セット + ビーフパティ120g + チーズ2種 + チリビーンズ」
その名も「The Longhorn(ザ・ロングホーン)」
店内は10席ほどだが、すべてオーナーが一人で作っているため、用意されるまでには少し時間を要する。コーラかビールでも飲んで待っていよう。
肉の焼ける香りが食欲をベストな状態にまで持っていったころ……
「お待たせしましたー」
ん・・・?
これは…!!
あふれんばかりのチーズ…!いや、あふれていた。
もちろんチリビーンズもはみ出るほどにたっぷり。
ドレスの裾かよ、という量。さっそくはみ出た部分を口に運ぶ。
……おいしい!!
スパイスの効いているチリビーンズにチーズの組み合わせ、そこにジューシーなビーフパティの旨味とくれば、最強のタッグ!!!
フォークとナイフで切り分けて食べるもよし、バーガー袋に入れて食べるもよし。
「うまい、うまいよパトラッシュ……!」
ネロ 我々は途端に元気を取り戻した。
肉はしっかり焼かれていながらも、中はじゅわっとジューシー。あふれた肉汁がバーガー袋の底に絶妙なドレッシングを作り出していたので、ポテトで掬ってぺろり。
ちなみに太めにカットされているこのポテトもカリカリに揚げたてで最高です。ナイスFATZ’S!!
ちなみにこちらは
「バンズ + レタス・トマト + ビーフパティ + チーズ + アボカド+サルサ」
もはやアート。フレッシュなサルサソースが食欲を加速させる……!
お店の至る所で目を引くこのロゴマーク、奥さんのデザインらしい。
Deboo! 的グッドデザイン賞である。
ここでDeboo!JAPANをご覧の、選ばれしデブの諸君に最適なバーガーを紹介しておこうと思う。
その名も
『THE WW』
「ビーフパティ、ベーコン、チーズ、全部ダブルのやつさ!」
オーナーはとびきりの笑顔で教えてくれた。高ボリューム、高カロリー!(yeahhhhh!!!)
意識の高い諸君にはぜひ試していただきたい。
……とはいえ、ここはオーダーメイドのバーガーショップ。
「それだけじゃ足りないぜ」というワガママボディの君は心の赴くままに頼めばいい。
そこにこの店のレジェンドを築きあげればいいのだ。
ちなみに食後のデザートも注文できるので、ご安心を。
胃袋の充足は、心の充足である。
フレンドリーな店主と美味しいバーガーにより、店を出る時にはすっかりエネルギーが充填されていたのであった。
いつでも心にカロリーを。
腹はいっぱいだったが、春の一日に踏み出した我々の足取りは軽かった。