1350円を握りしめケンタッキーフライドチキンの食べ放題に行ってきた話(道中編)
あの頃の僕はまだ未熟で、ケンタッキーフライドチキンを食べに行くだけでこんなにも打ちのめされるとは夢にも思ってもいなかった。
だからー
今日はその日起こったことをー
全て包み隠さず話そうと思う。
あれは初夏の熱気を感じ始めたある晴れた昼下がり、そう、1月15日だ。日頃から「唐揚げなら24時間食っていられる」と豪語していた僕は、とある友人から食事の誘いを受けた。176号線沿にあるスシロー池田店で待っていてくれという彼の言葉に従い、いくばくかの時間を待っていると彼が車に乗ってやってきた。ちょうどプレーヤーをオート・リピートにしてビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』を二十六回聴いた頃だ。
「君は、チキンが好きだろ?」彼は僕と出会うなりそう言った。
まるで僕の顔にそう書かれているような、確信めいた声だった。本当に顔にそう書いてあるのかもしれないなと僕は思った。
やれやれ、僕は首を振りながら答えた。
「ああ、好きだよ。なぜなら世界中の鶏は、人間たちに美味しく食べられるために存在しているからね。鶏たちにはとても申し訳ないけど、それが現実さ。」
彼は満足そうに頷いた。
「だから、今日は君を連れて行きたい店があるんだ」
彼はそう答えながら国道176号線から進路を切り替え、国道171号線を北東へ進んだ。そのルートは北摂地方の一画である箕面市という小さな街へ向かっていた。小さな街といっても、それは地方では県庁所在地になるほどの人口規模だ。広大な温泉施設もあれば、大型のショッピングモールまである。
とくに「みのおキューズモール」は、箕面市が誇る複合型ショッピングセンターである。同施設は、千里丘陵に広がる箕面市の新都心「かやの中央」地域の商業の中心として、109シネマズ(映画館)をはじめ、食堂、フィットネスジム、各種店舗などを併設したEAST・WESTの2つのショッピングエリア(専門店)と、イオン箕面店(2010年3月9日までの名称はカルフール箕面、エリアとしてはセントラルに位置付けられている)との3ゾーンでの構成となっている。
「みのおキューズモールへ行くのかい?」僕は彼にそう訊ねた。
「ああ、もちろん「みのおキューズモールへは行くさ。でもそこが目的地じゃない。そこからさらにー」
「なら」 僕は彼の言葉を遮りさらに訊ねた。
「その先にあるスシロー 箕面石丸店に行くのかい?でもさっきー」
「そう」 今度は彼が僕の言葉を遮りさらに訊ねた。
「当然スシロー箕面石丸店には行かない。もしスシローへ行くならさっき通り過ぎたスシロー 池田店へ行ってるからね。それに僕は寿司が苦手だ。つまり、その先にあるくら寿司 箕面店にも行かない。でも、目的地はくら寿司 箕面店のすぐ先だ」
彼の言葉で僕は行き先を閃いた。
「もしかして、ケンタッキーフライドチキン 小野原店に行こうとしているのかい?」
そう訊ねると、彼は笑顔で頷いた。まるで休むことを忘れたキツツキのように何度も何度も頷いていた。
ー次回予告
ケンタッキーフライドチキン 小野原店でケンタッキー食べ放題を体験した話。